1.夜勤を減らして
私たちの職場は、24時間365日、入院している患者さんがいれば、必ず誰かが夜勤をしています。しかし交替制勤務は、どうしても生活が不規則になり、心身に悪い影響を与えます。さらに、最近の研究では夜勤歴の長い看護師は心血管疾患、肺がんなどのリスクが高くなるという報告もあります。
全医労は、半世紀以上も前から看護師の夜勤回数を減らすことに取り組んできました。いまでは当たり前のようになっている「夜勤は月8日以内」という基準は全医労の先輩たちが人事院に訴えて設けさせたものです。この基準を守らせるために、看護師の増員をはじめ、欠員補充を速やかに行うことや、見込採用者の拡大を病院長に求めています。
2.すべての職種の大幅増員を
全医労は、働く者の労働条件改善とあわせて、良い医療・良い看護・介護の実現をめざしています。「笑顔で働き続けられる職場づくり」を目指すとともに、医療の安全・安心を守るためには、医師・看護師だけでなく、コメディカルや事務職員などの大幅増員が必要です。
毎年、全医労は国立病院機構と増員を求めて交渉を実施し、確実に定数増を実現させてきています。
3.長時間労働・サービス残業をなくすために
命を守る私たちの仕事は、まさに待ったなしの業務の連続です。さらに365日24時間の交替制勤務のなかで、心も体もすり減らし、職場を去って行く仲間も少なくありません。残念なことに過労死事件まで起きてしまいました。
全医労は、不払い残業の一掃と長時間労働の削減をもとめて、国立病院機構と何度も交渉してきました。こうしたなかで、ICカードを利用した労働時間管理方法の導入や、業務に関する研修や学習会などは勤務時間中に実施させることなどを実現させました。職場でも、だれもが超勤申請できる職場環境づくりをすすめています。
4.年休取得の向上を
本来、年次有給休暇を使って休むことは、労働基本法で決められた働く者の基本的な権利です。しかし、1カ月のシフトが組まれている交替制勤務の職場では、休みたくてもなかなか休むことができないのが実態です。全医労は職員の健康と人間らしい生活を守るために、誰もが気軽に年休取得できる職場づくりを求めて活動しています。
5.母性保護と子育て支援
病院は女性が多く働く職場です。女性職員が、結婚し、子どもを産み育てながら、生き生きと働き続けられる職場づくりをめざしています。そのため、生理休暇の取得、妊娠時の夜勤免除、育児休業の取得、子育てのための短時間勤務や夜勤免除など、必要な制度が必要な時に利用できるように、全医労がサポートしていきます。もちろん男性の育児参加も応援していきます。
6.メンタルヘルス対策
いま職場でメンタルヘルス(心の健康)とパワハラが大きな問題です。時間的ゆとりがなく仕事に忙殺され、過重な働き方になっていることが大きな原因です。全医労は各病院の安全衛生委員会に参加し、安全と健康を守る活動に取り組んでいます。また、組合員から個別に相談があった場合は、病院と解決のための対策を話し合っていきます。
7.要求実現と団体交渉
「残業しているのに超勤手当がつかない」「夜勤が月9回以上」「欠員で業務が回らない」「夜勤免除が認められなかった」「上司や同僚からイジメ・パワハラを受けている」「年休を希望したのに週休に振り替えられた。勤務表作成が不公平」「業績評価の結果に納得できない」「給料をあげてほしい」など、働いているとさまざまな問題や疑問にぶつかります。
全医労はこうした職場の問題を取り上げ、国立病院機構や各病院に改善を求めて団体交渉を実施しています。
8.賃金・労働条件の向上を
消費税率アップなどにより物価が上昇すれば、それだけ私たちの給与は目減りすることになります。また仕事の責任や役割が大きくなったのに、基本給や手当が上がらなければ割に合いません。生活を改善し、誇りを持って働き続けるためには、毎年の給与引き上げやボーナスの改善がどうしても必要です。
全医労は毎年、国立病院機構と交渉して、非常勤職員も含めた全ての職員の給与額を決定しています。交渉では、人件費を低く押さえようとする国立病院機構に対し、全医労は、仕事に見合った給与を支給するよう要求しています。全医労が交渉を有利にすすめるためには、「数の力」「団結の力」が必要です。
9.非常勤職員の雇用守り処遇改善を
長年にわたって、全医労は、非正規雇用である非常勤職員の労働条件を常勤職員なみに引き上げるよう国立病院機構に強く要求してきました。その結果、2019年度から、3年もしくは5年ごとの「公募制度」を廃止させ、無期雇用化までの期間を5年間から3年間に前倒しさせることができました。これで雇止めの不安なく働き続けられるようになりました。
今後は「同一労働同一賃金」の原則にのっとり、時間給単価の改善とボーナスの大幅アップを求めていきます。
10.医療事故への対応
医療の高度化に伴い、看護・介護業務も高度化・複雑化しており、医療現場はますます煩雑化しています。
重症心身障害児(者)や筋ジストロフィー病棟をはじめ、多くの病棟に人工呼吸器装着患者が増えるなど、より専門性の高い看護・介護が求められています。
しかし、それに十分対応できる人員が配置されていないため、「ヒヤリ・ハット」や医療事故発生の危険性も高まっています。
医療事故は一人のミスだけで起きるものではありません。しかし「個人」の責任にされてしまうと真相解明を遅らせることになり、病院側の責任もあいまいになって再発防止にはつながりません。また万が一、警察の介入があった場合には個人での対応は困難です。
看護師賠償責任保険がありますが、刑事訴訟となった場合には損害保険金支払いの対象にはなりません。
全医労は安全・安心の医療を提供するため、そして医療事故から職員を守るための取り組みをしています。組合員が医療事故の当事者となった場合、個人の責任にさせないため、そして当事者を一人ぼっちにしないよう顧問弁護士の協力も得ながら支援していきます。
万が一医療事故が発生した場合、当事者あるいは同僚の方ができるだけ早く全医労に知らせ、相談してください。