機構、コロナ禍で八雲患者移送強行姿勢崩さず
患者家族が「搬送禁止仮処分申立」
全医労は機構本部と6月30日、7月10日、コロナ禍における八雲病院患者移送延期を求める交渉を実施しましたが、機構は「延期を判断せざるを得ないような状況ではない」「8月の患者移送は行う」と強弁しました。
7月13日、入院患者の家族が函館地裁に「搬送禁止仮処分申立」を行ったことについて、全医労は同じ目的に向かってたたかう者として、連帯し、共闘する以下の声明を出しました。
コロナ禍における八雲病院患者移送延期を求める声明
独立行政法人国立病院機構(以下「機構」と表記)は、2015年6月、国立八雲病院の機能移転に関する基本構想を発表した。その内容は2020年を目途に、八雲病院の機能を国立函館病院、国立北海道医療センターに機能移転するという、実質「八雲病院廃止計画」であった。
全日本国立医療労働組合(以下「全医労」と表記)は、新たに札幌に筋ジストロフィーの医療・研究機能を設置することには賛同するものの、245㎞及び80㎞離れた札幌・函館に行けない患者・家族のためにも、八雲病院の廃止計画の見直しを求めて、地域の住民、患者・家族とともにたたかってきた。
これに対し国立病院機構は、政府の「新型コロナウイルス感染症対策本部」が開催され、「今が正に、感染の流行を早期に終息させるために、極めて重要な時期である」とし、「万全な対応をする」と発表したまさにその日、2020年2月26日に、八雲病院の機能移転日を2020年9月1日と正式に発表したのである。
この機能移転日にかかわり、患者移送についても新型コロナウイルス感染の終息の目途すら立っていない8月中旬のわずか4日間で実施するとしたのである。八雲病院の患者は、筋ジストロフィーと重症心身障害という感染リスクが極めて高い患者であり、新型コロナウイルスに感染すれば命の危険に直結する。全医労は、患者の命を守るために、コロナ禍における患者移送の延期を求めてたたかいを強化することとした。全医労は、患者移送延期によって、八雲病院の移転計画の見直しを求めるものではない。今、唯一求めることは、様々なイベント等が中止・延期される中、「機構は患者の命を第一に考えた判断をすべき」ということである。
全医労は「コロナ禍における患者移送の延期」を求めて機構との交渉を重ねてきたが、機構は未だにコロナ感染対策ばかりか、そもそもの移送計画すら不十分なままで予定通り移送を強行しようとしている。患者の命を軽視した暴挙である。
このような中、7月13日、八雲病院に入院する患者家族が、国立病院機構に対し「搬送禁止仮処分申立」を行った。病院に物言えない患者・家族の立場で、「わが子の命を守りたい」という一心での勇気ある行動に、全医労は心から敬意を表するとともに、「命を守る」という同じ目的に向かってたたかう者として、全面的に連帯し、共闘するものである。
全医労は、新型感染症の恐ろしさを誰よりも知る医療従事者として、患者の命を守るために、感染対策を含めた万全な移送計画となるまで、患者移送延期を求め、引き続きたたかいを展開していく決意を表明するものである。
2020年7月15日
全日本国立医療労働組合中央執行委員会