9月9日、全医労中央闘争委員会は、「医療崩壊を許さず、地域医療と国立病院の機能強化を求める声明」を発表しました。
医療崩壊を許さず、地域医療と国立病院の機能強化を求める声明
新型コロナウイルス(以下:新型コロナ)の感染拡大は、国民の生命と生活に深刻な影響をもたらしています。
2019年末の新型コロナの発生以来、国や自治体からの要請を受け、全国にある国立病院機構140病院、国立高度専門医療研究センター8病院(以下、国立病院)のうち、100近い病院で新型コロナ患者受け入れ、感染拡大地域への看護師派遣も行ってきました。
変異株などの急拡大で、各地で自宅療養者が増える中、重症化しても病床や医療従事者の不足等で受け入れが困難となり、入院できずに亡くなるという、あってはならない事例も相次いでいます。直ちに臨時国会を召集し、国が責任をもって、「医療崩壊」を食い止め、国民のいのちを守るための緊急対策を講じることを求めます。
国立病院の現場も深刻な事態が続いています。組合員からは「スタッフは疲弊し、退職する人、メンタル不全で病休者も続出している」、「N95マスクは未だ不足している」、「1年以上たっても設備も装備も整っていない」、「感染リスクと隣り合わせ。感染防止に細心の注意を払い、神経をすり減らしながら働いている。コロナ患者の増減のたびに駒のように異動させられる。同じ病棟で1年間に6人辞めた」など、重くのしかかる負担の中、使命感のみでは働き続けられないと訴えがあがっています。
コロナ禍で浮き彫りとなったぜい弱な医療提供体制の抜本的な見直しが急務であり、すべての国民のいのちと生活を守るには平時からの機能強化が必要です。
国立病院は全国にネットワークを有し、がん・救急医療等の地域医療、筋ジストロフィー・重症心身障害等の政策医療などとあわせ、新興感染症や大規模災害等、国の緊急時に求められる医療提供を行い、地域医療を守る一翼を担ってきました。
しかし、セーフティネット医療を担う国立病院であっても運営は採算性が強く求められています。「政策医療の遅滞なき遂行のため」として運営費交付金が繰り入れられていましたが、2011年から診療事業への繰り入れはゼロにされ、結果、結核病床等など不採算部門は縮小・削減が続き、看護師配置も公的病院の中でも低い人員数に抑えられています。
私たち全医労は、国立病院に働く医療従事者として、国に対し、国立病院をはじめ地域の「医療崩壊」を防ぎ、国民のいのちを守るため危機管理の強化を強く訴えます。公立・公的病院の統廃合を中止撤回し、新興・再興感染症の拡大、大規模災害等の緊急事態の場合に備えた万全の医療体制を求めます。
そのため、全医労は組織の総力をあげて、地域医療と国立病院の機能強化、医師・看護師をはじめとする全ての職員の増員、そして機能強化に必要な財源確保を求める国会請願署名に取り組みます。
これらの取り組みが、国民の大多数が望む医療体制強化へ結びつくと考え、たたかいを展開していく決意を表明します。
2021年9月9日
全日本国立医療労働組合中央闘争委員会